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ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針

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目次

  1. ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針(1)
  2. ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針(2)
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Born Digital: Guidance for Donors, Dealers, and Archival Repositories / Gabriela Redwine et al.
http://www.clir.org/pubs/reports/pub159/pub159.pdf
shikimi shikimi     最終更新:2014-01-26 20:34:47    PDF


ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針

Gabriela Redwine, Megan Barnard, Kate Donovan, Erika Farr, Michael Forstrom, Will Hansen, Jeremy Leighton John, Nancy Kuhl, Seth Shaw, and Susan Thomas

2013年10月

図書館情報資源振興財団(CLIR: Council on Library and Information Resources)

著者について

ガブリエラ・レドウィンは、イェール大学バイネッキ貴重書・手稿図書館(Beinecke Rare Book and Manuscript Library)のデジタル・アーキビストである。以前は、ハリー・ランサム・センターのアーキビストであり電子記録/メタデータ専門家だった。2010年に、マシュー・キルシェンバウムとリチャード・オヴェンデンとの共著で『文化遺産コレクションにおけるデジタルの科学捜査とボーン・デジタル・コンテンツ(Digital Forensics and Born-Digital Content in Cultural Heritage Collections)』(CLIR)を著した。

ミーガン・バーナードは、ハリー・ランサム・センターの収集管理主幹であり、そこで現代作家、とりわけデヴィッド・フォスター・ウォレスとジュリア・アルバレス、J・M・クッツェー、ノーマン・メイラーなどのアーカイブを収集する仕事をしてきた。「文学とスポーツ(Literature and Sport)」(2013)と「未融合の文化:21世紀における収集(Culture Unbound: Collecting in the Twenty-First Century)」(2011)の展覧会の学芸員を務め、「アーカイブの神秘性(The Mystique of the Archive)」(2008)では共同で学芸員を務めた。『想像の収集:ランサム・センターの最初の50年(Collecting the Imagination: The First Fifty Years of the Ransom Center)』(University of Texas Press, 2007)の編集者であり、共著者である。

ケイト・ドノバンは、ニューヨーク大学(NYU)Tamiment Library & Robert F. Wagner Labor Archivesの公衆サービスと指導担当の図書館員である。NYUで働く前に、エモリー大学の手稿とアーカイブ、貴重書図書館(Manuscript, Archives, and Rare Book Library)で、大学アーキビストと記録情報管理のコーディネーターとして務めていた。そこで彼女は大学アーカイブの長期の経営計画と展開、管理を指導した。ミシガン大学の情報学のM.S.とアイオワ大学の歴史のM.A.、ヴァッサー大学の歴史のB.A.をもっている。

エリカ・ファールは、エモリー大学の手稿とアーカイブ、貴重書図書館(MARBL:Manuscript, Archives, and Rare Book Library)におけるデジタル・アーカイブの主任である。ボーン・デジタル・アーカイブ計画を指揮し、MARBLデジタル計画に助力し、MARBL資料を含む他のデジタル・イニシアチブを支援している。北テキサス大学デントン校で図書館情報学のM.S.を得て、エモリー大学で英文学のPh.D.を得た。現在の研究関心としては、アーカイブの環境における人間の情報行動とデジタル人文科学の研究方法論がある。

マイケル・フォーストロムは、イェール大学バイネッキ貴重書・手稿図書館(Beinecke Rare Book and Manuscript Library)のアーキビストであり、そこで現代文学コレクションの処理と目録作成に責任を負っている。2003年から2012年まで、ボーン・デジタル・アーカイブ資料の管理職の責任もまた負っていた。

ウィル・ハンセンは、デューク大学のDavid M. Rubenstein貴重書・手稿図書館のコレクションの補助学芸員である。そこでの職務には、文学とアメリカ合衆国南部の歴史、経済学者の論文という分野における印刷資料およびアーカイブ資料の収集とキュレーションが含まれる。デュークに来る以前、シカゴのニューベリー図書館で働いていた。イリノイ大学のM.L.I.S.をもっている。

ジェレミー・レイトン・ジョンは、英国図書館のデジタル研究部門(Department of Digital Scholarship)でデジタル研究とキュレーターチームに所属しており、2003年からeMANUSCRIPTSの学芸員を務め、W・D・ハミルトン・アーカイブの専門の科学学芸員であった。以前は生物音響学コレクションの目録作成の仕事をしていた。1996年に、オックスフォード大学マートン・カレッジで、進化論と系統発生学の論題に専心して、動物学のD.Phil.を修めた。ロンドンのリンネ協会と王立地理学協会の会員である。英国考古学会議(UK Arts & Humanities Research Council)から資金提供を受けたデジタル生活研究計画の研究責任者として、Nature誌の「私たちの過去を保存することの将来」という論文でデジタルの科学捜査の活用を推進した。2012年に、英国図書館での個人のデジタル手稿計画へと導く計画として、彼はデジタルの科学捜査と保存という題のデジタル保存連合のための技術観察研究論文を発表した。彼は現在、英国とアイルランドのアーカイブズ・記録協会(Archives and Records Associationでアーカイブズと技術を扱う部局の委員会で働いている。その会員には、王立協会の図書館委員会(Library Committee of the Royal Society)現代の科学者のアーカイブズのための国立図書目録部署の諮問委員会(Advisory Committee of the National Cataloguing Unit for the Archives of Contemporary Scientists)が含まれていた。

ナンシー・クールは、イェール大学バイネッキ貴重書・手稿図書館でアメリカ文学のイェール・コレクションの詩の学芸員である(http://beinecke.library.yale.edu/blog/YCAL)。展覧会カタログと詩のコレクションの著者であり、小さな詩の出版者であるPhylum Pressの共同編集者である(http://www.phylumpress.com)。

セス・ショーは、クレイトン州立大学アーカイブ学科の助教授である。以前はデューク大学アーカイブで電子記録アーキビストとして勤め、大学アーカイブと特別コレクションの両方におけるあらゆるボーン・デジタルに責任を負っていた。ブリガム・ヤング大学アイダホ校で2005年に情報システムのB.S.を得て、ミシガン大学の情報学校で2007年に情報とアーカイブ、記録管理のM.S.を得た。

スーザン・トーマスは、ボドレアン図書館の西洋写本部門のデジタル・アーキビストであり、そこでボーン・デジタル・アーカイブを監督し、保存し、アクセスを提供するための図書館の可能性を発達させ、運営することに責任を負っている。2005年からデジタル・アーカイブの仕事----事業計画と日常の内部業務、共同事業----に関与してきた。最近までダンディー大学アーカイブ・情報学センターの修士課程でデジタル・アーカイビングの単位を共同で指導していた。現在はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)でアーカイブ・記録管理講義の学外試験官として勤めている。

謝辞

私たちそれぞれの機関の館長による指導と援助に感謝申し上げます。また、Erin O’MearaとKari R. Smithによる外部レビュワとしての協力にも感謝します。MediaCommons PressのKathleen Fitzpatrickと、図書館情報資源振興財団のKathlin SmithとBrian Leney、そしてこの報告書に意見と反応を寄せてくださったすべての人に感謝します。

前書き

最近まで、デジタルメディアとデジタルファイルはアーカイブの収集物の中に概ね補足として含まれてきた。貴重書と手稿の取扱業者は、ボーン・デジタル資料の扱い方やアナログ資料と比較したそれらへの金銭的および文化的価値の割り当て方について、自信がないかもしれない。レポジトリの職員は、新入りのデジタル収集物を管理する体制ができていないかもしれず、まして、収集過程を通したボーン・デジタル資料の物理的およびデジタルの幸福を主唱する役割を果たす準備は整っていないかもしれない。そして提供者は、古くからディスクと電子メール・メッセージの中身について神経質であり、一方では彼らの人生と作品を保存し普及を促進したいと望むと同時に、他方では彼ら自身や家族、友人のプライバシーを保持し続けることも望み、その間で引き裂かれているかもしれない。ボーン・デジタルの収集物に関する指針を提供する報告書という考えは、こうした課題やその他の課題についての直接の経験から生じた。

2011年8月、10人のアーキビストと学芸員集団----当時はイェール大学バイネッキ貴重書・手稿図書館と;オックスフォード大学ボドレアン図書館;英国図書館;デューク大学David M. Rubenstein貴重書・手稿図書館;エモリー大学の手稿とアーカイブ、貴重書図書館(MARBL);テキサス大学オースティン校ハリー・ランサム・センターに所属していた----は、アーカイブのレポジトリにボーン・デジタル資料を収集し移管する際の推奨事項を作成するために協力し始めた。私たちの目標は、デジタル資料が適切に取り扱われ文書化され、良好な状態でレポジトリに到着することを確実にするのに役立つ手引きを提供することだった。私たちが念頭に置いていた対象読者には、貴重書と手稿の取扱業者や提供者、レポジトリ職員、デジタルメディアとデジタルファイルを所有しているその他の管理責任者が含まれていた。

6機関のうち4機関は、直接にデジタルメディアを扱うデジタル・アーキビストと直接にコレクション構築と収集に関与する収集専門家によってそれぞれ代表されていた。残りの2機関は、ボドレアン図書館と英国図書館であり、両方の種類の専門的知識を包含する職の一人によってそれぞれ代表されていた。両方の種類の経験をもつ人々を含むことで、集団の視野を拡大し、とりわけボーン・デジタル収集物についてアーキビストと学芸員がお互いに話をするよう後押しすることを私たちは期待していた。

プロジェクトには予算がなく、英国や米国の様々な地域からの参加者を含んでいたため、遠く離れて協力するためにVidyo(テレビ会議)やGoogle Docs、DropBoxなどのツールを利用した。私たちはまた、直に会うために、別々に資金助成を受けた会議やその他のイベントへの出張をうまく利用した。ボーン・デジタル収集物のための指針を構想し始めながら、自身の機関による既存のドキュメンテーションを共有した。それぞれの集団はまた、各自の機関でのボーン・デジタル収集物に関連した現在の実践と課題を明らかにする簡潔な事例研究を提供した。この活動は内密の、だが、共通の経験の集合となり、報告書の構成を作成して予備的内容を起草するときに、そこから描き出し、立ち戻って参照した。私たちの活動の形は、将来において組織内の共同作業を継続することの利益と、レポジトリ職員と取扱業者との間に同じような連絡経路を開くことの利益をそれとなく示している。

2012年9月までに、私たちは報告書の草稿を完成させ、さらに二人の同業者、Erin O’Meara(アーキビスト、ゲイツ・アーカイブ)とKari R. Smith(デジタル・アーキビスト、マサチューセッツ工科大学図書館アーカイブ・特別コレクション協会(Institute Archives and Special Collections, MIT Libraries))に協力を求め、外部編集者のレビューの提供という助力を受けた。二人の提案は推敲の次の段階を導き、2013年1月までに報告書の最終草案----今では『ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針』と題された----のパブリックコメントを受け付ける準備が整った。

私たちは出版に向けて、二つの異なる方策で進めることに決めた。第一に、報告書の草案版を、自由な公開レビューに取り組んでいる革新的なオンライン出版者であるMediaCommons Pressによって、オンラインで発表した。MediaCommonsのウェブサイトは、読者のフィードバックを容易にする意見を書き込むインターフェースを用意している。この機能性が、報告書の中で示された問題についての公共の対話に、多様な読者----取扱業者やアーキビスト、学芸員、提供者、研究者、科学技術者、学生、その他の利害関係者----の参加を促すであろうことを期待した。私たちはまた、この非常に熱心な協力の下に行われたプロジェクトをただ1つの機関に関係づけることを避け、レビューと推敲の過程をできる限り明瞭にしたかった。報告書のMediaCommons版はhttp://mcpress.media-commons.org/borndigitalにおいて意見を求めて開かれたままである。

MediaCommons草案が公開されるとすぐに、より伝統的な出版部の代表と、報告書の改訂版を無償の電子出版として出版することの実現性について話し始めた。図書館情報資源振興財団(CLIR)での出版は、アーキビストや学者、取扱業者、提供者、学生だけでなく図書館員や出版者を含む幅広い読者へと到達する役に立つだろう。CLIRの力点は共同作業の必要性にある;独立の非営利組織としてのその立場と;デジタル・キュレーションに関する議論の促進への関与は、報告書の目標としっかりそろっている。

プロジェクトが始まってから、私たちのうち数人は職階肩書きが変わり、または異なる機関に移動した。『ボーン・デジタル』のMediaCommons草案の表題紙は、プロジェクト当初の私たちそれぞれの所属を示している;私たちの現在の職階と所属はCLIR報告書のivページからvページに一覧されている。

2013年10月

専門用語に関して

『ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針』の著者は2つの一般的な集団に区分される:アーキビストと特別コレクション学芸員である。私たちは対象とするすべての分野の読者にとってはっきりわかるであろう専門用語を使用しようとしたが、避け難い専門的な偏りが残っている。報告書の中で使用されているある用語は、アーキビストと取扱業者、学芸員、提供者にとって、異なることを意味するだろう。

場合によっては、私たちは一貫性のために正確性を犠牲にすることを選んだ。例えば、報告書中で提供者(donorという用語を、ボーン・デジタル資料をアーカイブのレポジトリに売却や供与、寄託、貸し付け、またはそうでなくとも移管する、人物や家、組職、権利者(estate)、その他の存在を指し示すために使用している。実際には、ときとしてこの人物や存在はデジタル記録の創造者であることもあり、資料を提供するというよりもむしろ売却している。この後に続くページを読むとき、報告書の推奨事項を意味あるものにするために必要な言葉は何であれ、読者の特定の文脈の中で置き換えることを勧める

次に述べるものは、『ボーン・デジタル』の中で最も頻繁に使用されたいくつかの用語に関する定義である。これらやその他の定義は、必要な場合には、報告書本文の中に組み込まれた。

収集(Acquisition)。レポジトリが資料群に対する所有権や責任を引き受ける過程;もしくは最近レポジトリによって収集された資料群。

取扱業者(Dealer。貴重書と手稿を販売する人や会社、そして、提供者とアーカイブのレポジトリとの間で取引を行う仲介業者。

提供者(Donor。ボーン・デジタル資料をアーカイブのレポジトリに売却や供与、寄託、貸し付け、またはそうでなくとも移管する、人や家、組職、権利者(estate)、その他の存在。

レポジトリ(Repository。提供者から移管されたアーカイブ資料を収集し、保管し、利用可能にする場所。

技術専門家(Technical specialist。次のいくつかの技術特性と機能に関する専門知識を持った人:ネットワークとコンピュータ、デジタルメディア、ファイルシステム、オペレーティングシステム、デジタルファイル。この人物はデータベースとネットワーク化されたシステムについての専門的知識もまた持っているかもしれない。

1.序論

『ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針』は、提供者からアーカイブのレポジトリへと移管されたボーン・デジタル資料の物理的および知的幸福を確保するのに役立つ推奨事項を提供する。報告書本文はボーン・デジタル収集物に関連した主要な問題と懸念を調査しており、提供者と取扱業者、レボジトリ職員をはじめとして、様々な度合いの関心と専門的知識をもった幅広い読者を対象としている。

以下に続く報告書のセクションはそれぞれ、重要な関心領域の概観を提供する:

初期のコレクションレビューでは、収集に先立ってレポジトリ職員と提供者、取扱業者の間で行なわれるやり取りについての情報を提供する、考慮すべき事柄と方策を概説する。

プライバシーと知的財産権では、個人情報と機密情報に関連したものだけでなく知的財産権に関係がある倫理的および実際的懸念を取り上げる。

デジタル資料の収集におけるキーステージでは、収集同意と契約、移管の過程、デジタル資料がレポジトリに到着してからの最初の取り扱いについて取り上げる。

レポジトリによる収集後のレビューでは、保有と処分、放置に関連した問題だけでなく、レポジトリに到着後のデジタルメディアとデジタルファイルの状態と中身に関する職員の評価にも焦点を当てている。

これらのセクションはそれぞれ、2つの推奨事項の一覧で締めくくられている:一つは提供者と取扱業者に対して、もう一つはレポジトリの職員に対して。

付録は、報告書中の推奨事項を具体化するための資源の一覧とすぐに使えるチェックリストだけでなく、予期せぬこととありうる職員を配置した事業への準備の仕方について、より具体的情報を提供する。これらの推奨事項は、汎用的であることは意図しておらず、必ずしも著者らの機関の公式の方針を反映しているわけではない。むしろ、ボーン・デジタル資料の収集に関与する提供者や取扱業者、レポジトリの職員のための広範で有用な指針を提供する。

ボーン・デジタル資料が良好な状態でレポジトリに到着し、適切な文書による記録がそれらに付随していることを確実にするため、関係者全員にデジタルメディアとデジタルファイルの扱い方や文書によって記録する方法、輸送方法、受領方法に気を配るよう納得させることは極めて重要である。より大きな利益と懸念は、いつもと同じように、重要な文化資源の保存である。続く推奨事項は、最終的により豊かな収集物をもたらすであろう実質的改良を、アーカイブのレポジトリや提供者、取扱業者が実装するのに役立つだろう。

2. 初期のコレクションレビュー

ボーン・デジタル資料は、収集過程に関与している人々に新たな要求を提起する保存とアクセスの課題をもたらす。関係者全員がボーン・デジタル・コンテンツの範囲と性質についてよりよく理解するように、収集に先立って、デジタルメディアやデジタルファイルを含んでいるアーカイブについてできる限り多くの情報を共有することは優れた実践である。早くからのやり取りはまた、レポジトリの職員が、経時的なデジタル資料の有用性だけでなく、アーカイブとファイルの整合性を確保するために予備的措置を講じる役に立つ。

2.1 デジタルメディアとデジタルファイルの初期評価

提供者と取扱業者は、ときにはレポジトリに資料を提供する前に資料群の範囲と状態を評価する。同様に、レポジトリは伝統的に、次に述べるようなことを行うために、収集に先立ってアーカイブ資料の評価を行ってきた

・そのコンテンツが彼らの収集関心にそっているかどうかを判断する

・潜在的な使用やアクセスの制限事項を判断する

・できる限り多くのコレクションと資料についての文脈情報を得る

・その資料が文化的および研究価値を有しているかどうかを評価する

・収集するか否かと何を収集するかを決める

近年、緩まることのない技術進歩の速度と人々が技術を使う方法の多様さは、最終的にアーカイブへ行きつく資料の種類に重要な影響を与えてきた。デジタルのアーカイブ資料に付随する複雑さは、初期のコレクションレビューの効用を一層強調することとなった。すべての関係者----提供者と取扱業者、レポジトリ職員----が、寄贈や売却によって提供されているいくつかの資料のうち、かなりの部分をデジタルメディアとデジタルファイルが構成しているかどうかを、早いうちに議論することは重要である。これらの話し合いは、受け入れと収集、管理、法律、処理、技術的な責任をもつレポジトリ職員を巻き込むかもしれない。提供者もまた、収集の一端として提供されているデジタルメディアとデジタルファイルを見つけ出して評価するレポジトリ職員と緊密に連携して働くために、彼ら自身の技術専門家を関与させることを考えるかもしれない。

デジタル資料の初期評価は、提供者が予定していたもののみを移管することを確実にするのに役立つ。どのような予備的なコレクション目録であれ、デジタルメディアとデジタルファイルについての一般的な情報を含むべきである;資料の中身と背景についての詳細;湿度や極端な状態、乱暴な取り扱いによって引き起こされた破損の記述のような、資料の物理的状態についての関連情報。他に考慮すべき事柄には、ボーン・デジタル・コンテンツがコレクションのほかのところで紙媒体に複製されている範囲や公開のオンラインへの利用可能性の程度を含むかもしれない。この情報は、レポジトリ職員がボーン・デジタル・コンテンツを収集することの望ましさを評価し、必要となる保存空間を予測し、長期にわたって関係する職員と設備の費用を見積もり、収集を行うかどうかを決めるのに役立つだろう(ありうる職員を配置した事業についての情報は付録Aを参照)。レポジトリの評価基準は次のものを含むかもしれない

・メディアやファイルの一般的な技術特性(例えば、メディア形式、ファイルの種類、エクステント)

・デジタル資料の総量(ファイルの大きさの範囲を含む)

・コレクション内におけるボーン・デジタル資料と紙資料の間の関係性の実態

・背景と中身についての情報

・可能な移管の選択肢

・特殊な保存の課題

ボーン・デジタル資料の評価に関する基本的なレポジトリの戦略には、関連する情報と文書を共有することとコレクション調査を実施すること、デジタルメディアとデジタルファイルの来歴について提供者と直接やり取りをすることが含まれている(標本調査とその他の文書へのリンクは付録Bを参照)。

2.1.1 情報と文書の共有

情報と文書を共有することは、提供者と取扱業者、その他の関係者がボーン・デジタル資料についてのレポジトリの懸念を理解するのに役立つことができ、収集の範囲と職員が着手する手続き、提供者や取扱業者へのレポジトリからの要求事項とその逆についても同様に、予想を立てるのに役立つだろう。レポジトリが提供者と共有する可能性のある情報の例には次のものが含まれる

・ボーン・デジタル資料に関するコレクション構築方針

・デジタルメディアとデジタルファイルについて、その収集と移管、複製、禁止や制限、ユーザー・アクセス、長期間の保存、安全な廃棄に関する方針と手続き

・デジタルメディアとデジタルファイルの取扱方法と手続きを文書で記録する方法の手引き

・収集の同意や契約の作成に関する指針

・研究者とレポジトリ職員がボーン・デジタル資料を利用できる方法を説明するサンプル・シナリオ

特に懸念される一つの領域は、レポジトリに提供されたコレクションの中のデジタルファイルの状態に関係する。デジタルファイルの整合性を守るため----すなわち、オリジナルコンテンツとデータ、その他の情報が変わっていない状態で、ファイルがレポジトリに到達することを確実にするため----、提供者と取扱業者は、資料を寄贈や購入で提供することを見越して原資料からファイルを操作することや変更すること、抜き取ること、複製することをするべきではない。

コンピュータの電源を入れることでさえファイルを変えることがあり、アプリケーションでファイルを開くことは、タイムスタンプを変更することがあり、もしかすると資料の金銭的および文化的価値に影響を与えるかもしれない。場合によっては、提供者が私的な資料を移管することにならないかを確かめるために、古いディスクやファイルの中身を事前に見ようとするかもしれない。提供者や取扱業者が、所有権の移転前に、コンピュータでディスクにアクセスするまたはファイルを見ることを決めた場合は、評価過程の間にデジタルメディアとデジタルファイルに、もしあるとすれば、何が、いつ、誰によって行われたのかを文書で記録するために、レポジトリ職員と協力することが重要だろう。この文書による記録はレポジトリ職員がボーン・デジタル資料の出所の確証を得るのに役立つだろう。改変することなくファイルを事前に確認するための作戦としては、書き込み防止装置(write-blockers)を利用することや3.5インチ・フロッピー・ディスクの後ろの書き込み防止のつまみ(write-protect tab)を動かすこと、CD-ROM(Read-Only Memory:読み出し専用メモリ)ドライブを利用することなどがある。アーカイブのレポジトリの技術専門家は、提供者や取扱業者にファイルに安全にアクセスする方法について有用な助言を提供できるかもしれない。提供者と取扱業者、レポジトリの職員はまた、デジタルメディア(例えば、ディスクやCD、フラッシュ・ドライブのような物理的対象)を傷つけることやそれらの価値を落とすことのないような方法で、慎重に、気をつけてデジタルメディアを取り扱わなければならない。

2.1.2 コレクション調査

コレクション調査はレポジトリ職員によって行われる手続きであり、デジタル資料の数量と形態、状態、位置など、コレクションについての情報を収集する。収集より前のボーン・デジタル資料の調査の遂行において2つの主要な戦略がある:直接実施される現地観覧と、インターネットや電話、その他の方法で実施される遠隔地での下見である。とりわけ提案された収集がかなりの量の資料から成っているときには、現地での評価はいくつかの利点をもつ。

現地調査は大抵、提供者がどこで働いていても、または、コレクション資料がどこに保管されていても行われ、次のものを含むことがある

・提供者のボーン・デジタル資料に関する予備的評価と議論

・提案された収集物に関してデジタル部分と紙部分を統合した調査、または、それぞれ別の時間での二つの構成要素の独立評価

提供者のファイルの安全な複製、または、さらなる評価のためのディレクトリ構造の取り込みは、レポジトリへと戻った上で、職員がさらに時間を使い、場合によっては追加の道具を使い、処理を行うだろう

後の評価を目的として提供者のファイルを複製する前に、職員はファイルの複製方法や保管方法、何れの当事者が収集を進めないと決めた場合やレポジトリが原資料の複製を再度収集する必要がある場合における安全な削除方法を細かく指定して、提供者と適切な同意を結ばなければならない。

提供者と資料がレポジトリからいくらか遠方に位置している場合は、遠隔地調査の方が現地調査よりも理に適うかもしれない。同様に、地理的に隔絶された場所にあるレポジトリまたは出張予算が小額のレポジトリは、資料を遠隔で評価する必要があるかもしれない。遠隔地調査は電子メールやその他の通信手段を介して実施され得る。一つの戦略は、提供者に定式的な調査道具(例えばレポジトリから出された最初の質問の一覧)をそろえるよう頼み、その後さらに手紙やファックス、電子メール・メッセージ、電話を通した話し合いを続けることである(標本調査へのリンクに関しては付録Bを参照)。遠隔地調査は、取扱業者や提供者によって作成された、デジタルメディアの数と種類を一覧にし、コンテンツの一般的な性質を提供する文書もまた含むかもしれない。もう一つの方法として、提供者はインターネットを通じたファイル転送プロトコル(FTP: file transfer protocol)または安全なピアツーピア通信へのアクセスをレポジトリに提供し、提供者のデスクトップに対する遠隔アクセスをレポジトリに与えるかもしれない。この方策は、職員や取扱業者がファイルを事前に見て調査を行い、可能な移管の計画を議論し、収集を行うべきかどうかを決めることを可能にする。遠隔地からデスクトップやディレクトリにアクセスするときにファイルを改変しないように注意を払わなければならない。

2.1.3コミュニケーション

調査とその他の収集前の戦略は、過去と現在のコンピュータ環境についての提供者との会話によって補完され得る。コンピュータメディアが以前保管されていた周囲の状態を含む、提供者のコンピュータ使用の習慣についてレポジトリの職員が知ることのできるどのような情報も、彼らがデジタル資料を文脈に当てはめ、保存するのに役立つだろう。

提供者と取扱業者は、レポジトリによるデジタルメディアとデジタルファイルの受け入れ・保存態勢と;デジタル資料の長期間管理職に関する戦略;プライバシーと取り込み・保管方法、セキュリティに関する方針について尋ねるべきである。提供者がデジタルファイルの管理について技術専門家を頼りにしている場合は、その人やチームをコレクションレビューの過程に関わらせることは役に立つかもしれない。レポジトリに資料を提供するより前のデジタル資料の記述と取り扱いに関する指針は、関係者全員が問題を予期し、実際の資料の移管の前に余裕をもって解決策を講じるのに役立つことができる。プライバシーと機密性、アクセスと制限、取り込みと書き換えに関する可能性についてだけでなく、将来の収集におけるデジタル資料の技術的な性質と範囲についてのレポジトリ職員と提供者との間でのやり取りは、潜在的な手続きの障害を見通し、最終的にレポジトリがボーン・デジタル・コンテンツのより優れた管理者としての役割を果たすことを可能にする。

2.2 提供者と取扱業者への推奨事項

・単にファイルを見ることだけでファイルを改変することがありうると意識すること。

・寄贈や購入によって資料を提供することを見越して、原資料メディアに存在するデータを操作することや組み替えること、引き出すこと、複製すること、またはそうでなくともデータを変更することを回避する、または、レポジトリから用意された既定の指針に従ってファイルをプレビューする。

・次のことに関する手引きとドキュメンテーションについてレポジトリに尋ねる

 ・デジタル資料に関する最も適切なレポジトリの決定

 ・ボーン・デジタル資料に関する収集の同意や契約の条件の交渉

 ・移管される予定のファイルとメディアの背景と来歴の説明

 ・デジタルメディアの取り扱い

 ・デジタルメディアとデジタルファイルの保管とアクセス試行、複製、移送を文書によって記録すること

・提供されるデジタル資料の保存される範囲と利用可能とされる範囲についての見込みを明確にする。

2.3 レポジトリへの推奨事項

・収集に先立ってボーン・デジタル資料を評価する。

・取得と継続的な保存、アクセスのためのコストに対して、コレクションやその構成要素の文化的価値と研究価値について比較検討する。

・サンプルの利用シナリオだけでなくコレクションレビューと収集過程について、提供者と取扱業者と関連する情報と文書を共有する。

・デジタル保存とアクセスに関する見込みを明確にする。

・ボーン・デジタル資料の調査を行う:

 ・提供者や取扱業者と協議することで適切な調査方法を決定する。

 ・可能であれば(直接に)現地調査を実施する。

 ・初期評価の目的で複製されたファイルの取得と保管、処分に関して適当な方針をもつ。

 ・現地観覧で可能なものよりも多くの時間やより緻密な分析が必要なとき、または現地調査が可能でないとき、提供者のファイルやディレクトリ構造を安全に取り込む。

【2分割して訳した1つ目。原文はこちらから入手できます:http://www.clir.org/pubs/reports/pub159

原文:http://www.clir.org/pubs/reports/pub159/pub159.pdf
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