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JACKで音楽制作するのにだいたい必要なもの 

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目次

  1. [初心者向け] JACKサウンドサーバのキホン | 使い方から設定までを解説  from Libre Music Production
  2. [Non Series] セッションマネージャー  | その使い方とコンセプトに迫る | from Libre Music Production

 JACKはLinuxでプロ並みの音楽活動ができるように設計されたサウンドサーバー。正式名称を「JACK Audio Connection Kit」という。正直使ってみて、とてもパワフルでナイスなソフトだと思う。

 ただ、「サウンドサーバー」って時点で、初めての人は慣れるまでちょっと戸惑うかもしれない。でも、ご安心を。基礎さえ学べばいろんな操作ができるようになるから。そして、文字通り「音ソフトの制御装置」なんだってこともわかると思う。

 それにこのページに書いてあることって、一度セッティングしちゃえば忘れてもいいようなことだし。そのぶん、自分の仕事に専念できるよね?

 そのくらい、この記事で一通りのことは説明してしまおうと思う。というわけで、本題に入っていこう。



 1 「で、JACKって何よ。」

 JACKはとにかく楽曲制作用に作られたサウンドサーバーなんだ。まずは、主な5つの役割を説明する。




  (1)設定

 JACKではオーディオやMIDIを設定できる。オーディオインターフェースの設定もここでできる。それは当たり前として、再生1つとっても細かな設定ができるようになっている。例えば、サンプルレートやバッファサイズ変更とかね。
 音像をさらに細かく観察しようと思ったら、ここの設定が大事かな。



  (2)パフォーマンス

 JACKはオーディオでもMIDIでも、再生の遅れが極力少なくなるように設計されている。この機能が真価を発揮するのは、特にレコーディングの時だと思うんだ。

  もし、コンピュータで録音とかしている時に、スピーカーやヘッドフォンからタイミングのずれた音が聞こえてきたら話にならない。でも、レイテンシが少ないJACKなら、録音しながらモニタリングもできる。


 さらに、JACKではこの再生の遅れ(Latency・レイテンシ)が「Latency out」という項目に表示される。気になる人はチェックしてほしい。あと、Ardourを使っている人は、マニュアルから「Latency and Latency-Compensation(レイテンシとその対処法)」を一度のぞいてみることをおすすめする。



 (3)ソフト同士のコネクションと整理

 これが、JACKの最大の強みとも言える部分。ほとんどどんな音声プログラムも、JACKを使えば、ほかのソフトと接続したり、連携したりすることが比較的簡単にこなせる。


 でも、それだけじゃない。音のインプット/アウトプットもこのソフトで整理できてしまう。一歩間違えばごっちゃになって行方不明になりそうな、音のプログラムをこのソフトでまとめてきれいに管理できる。
 だから、何かトラブルが起きても、状況の把握がしやすくなるわけだ。


 DAWでいえば、ArdourQtractorがオーディオとMIDIの接続にJACKを使っている。


 ここの機能が使いこなせるようになれば、JACKはとても便利なソフトなんだってことが実感できるようになると思う。とりあえず、ここまでが基本的な使い方かな。

 


  (4)シンクロ

 たくさんのプログラムを使っても、JACKは問題なくそれぞれを同期させる。

 たとえば、MIDIシーケンサを1つ、それからオーディオシーケンサをもう1つ使っていたとしても、JACKはその2つを簡単に同期させてくれる。

 どちらのプログラムもスタート・ストップが同時になっているし、どちらかのプログラムを操作しても、そのタイムラインは他のプログラムにも反映されている。ただ、これにはちゃんとした設定が必要だけどね。




  (5)アナログ機材にもつかえる

 JACKをうまく使えば、自分でレコーディングスタジオ並の環境をそろえることができる。

 自分で選んだ楽器や機材を配置して、つなげていく。そして、それをコンピュータにつなげれば、JACKがソフトウェアと同じようにハードウェアの音も整理してくれる、という環境が構築可能なんだ。

 ソフトを操作して音を出しても、ハードを操作して音を出しても、タイムラインにはちゃんと反映されている。オーディオの情報も、MIDIの情報もJACKを通じてインプット/アウトプットされている。

 これだけプログラムをたくさん使っても、その情報やつながり方はJACK1つに集約されている。

 だから、自分たちで思い通りの環境を構築することができるんだ。

写真)JACKはこんなふうにハードウェアで楽器を接続するのと同じような役割を果たす。






 2 JACKの使いどころ


 ウィンドウズやMacを使っている人は、この手のソフトの接続をDAWに任せている人も多いよね。

 でも、物によっては、プログラムのビットが違えば一緒には操作できないシステムもあって、それが作業の上で「最大の壁」だったってこともある。

 だけど、たったそれだけのことで使い慣れたDAWを手放すよりかは、JACKの導入を考えてみてもいいと思うんだ。

 DAWにプラグインを追加するみたいに、割と手広くいろんなソフトを接続できるからね。
 ただ、ちゃんと接続の設定はしないとだめだよ。
 その代わり、細かく、様々な設定ができる。

 実は、Xjadeoのようなビデオプログラムや、その他独立型プラグインとの接続もできる。扱えるソフトはほんとうに手広いんだ。




 3 そんなに身構えるほどのものでもない。


 以上でJACKがとにかく多機能だってことはわかっただろうけど、とはいえ使うのにそんなに身構えるほどのものでもない。

 だって、その中の必要な機能さえ使えればいいんだし、そのための高機能だもの。
 それに、音は手を加えればよくなるわけではないから、今紹介した全部を無理して使いこなさなくていいんだ。

  ただ、どっちかというと、いざ何かしたくなったときに、JACKの使い道を確認すれば、案外とできることは多いということを言いたかった。
 サウンドサーバーは手持ちのプログラムや機材を快適に使うためのものだと考えてくれればいい。

 機能の解説はここまで。次は実践的な使い方だ。




 4 JACKマネージャーソフトの紹介

 JACKはそのまま使おうとしても、「コマンドラインから」操作することになってしまい、ややこしい。だから普通は、専用のマネージャーソフトを使って操作する。


 専用、といっても、マネージャーソフトには、いくつか種類がある。自分の使い方に合ったソフトを選ぼう。
 
 まず、JACKマネージャーソフトは主に

  • セットアップ・マネージャー(設定画面)
  • コネクション・マネージャー(接続画面)

 の2つの機能がついていることについてはあまり変わらないのだけど、それぞれに個性がある。


 最初に伝えておくけど、すべての作業をDAW内で済ませてしまう人なら、
 マネージャーでの細かい設定はあんまり必要ない。
 マネージャーはどうしても設定が必要なときに時たま開くものになる。
 つまり、どのソフトでも使い心地はあんまり代わり映えしないのかも。
 それでも設定は必要だから、どれか1コ入れておくってかんじ。


 ただ、モジュラーを使ってレコーディングする人とかね。
 エフェクトとか、録音とか、シーケンサーとか、使う道具がとにかく多い人。

 こういう人たちにとっては、マネージャーソフトは吟味が必要なのね。
 
 その理由は、さっきも説明したように、手持ちの機材をどう接続しているかを、ひとめで確認できた方がいいから。ここの解説は主にそういう人のためのものかもしれない。


(1)もっとも有名なJACKマネージャー

   Qjackctl


 Qjackctlはとてもパワフル。そして、おそらくこの手のソフトのなかではもっとも有名だ。
 設定、コネクション、セッション・マネジメントまで、JACKにまつわる様々なことを管理できる。
 普段は、小さなウィンドウで動作しているが、設定画面に移ると大きくなって見やすい。また、その小さなウィンドウも、タスクバーをクリックすることで最小化するので、作業に集中できる。

(2)Cadence

Cadenceは設定が簡単。KXStudioレポジトリのなかに入っている。普通にプレーヤーから音楽を聴くときや、映像を見るときも、音声をJACK経由で再生できるように設定できる。また、ログイン時にJACKを自動的にスタートさせる設定もある。ひとたび設定すれば、メンテナンスは最低限で済むお手軽バージョン。

(3)Patchage

 Patchageはコネクション・マネージャーとしてはとても使い勝手がいい。すべてのコネクションを確認できる。オーディオかMIDIかを色分け表示してくれて、見やすい。表のなかをクリック・ドラッグするだけで、接続ができるので、操作もわかりやすい。

(4)Catia

 もう一つ、注目すべきコネクション・マネージャーはこれだ。
 コネクションの表はPatchageとほとんど同じだが、サンプル、バッファ設定、トランスポート管理ができる点などが、Patchageと比べて多機能である。CatiaのツールバーにあるスパナマークをクリックすればCadenceにアクセスできる。



 5 基本的な設定

 オーディオ関係に明るい人なら、そんなに解説がなくてもいろいろいじれるだろうけど、一応そうでない人のために。

 初めての人は設定項目の多さにソットーしそうになるかもしれないけど、
 実はホントに重要な項目なんて、ほとんど、ない。
 これはあくまでいろいろ融通のきくソフトを目指した結果だから、そこは大目に見といて。
 
 そして、ここでその数少ない大切な項目について説明しよう。



(1)バッファサイズ (ここをフレーム、ピリオドということもある)

 バッファサイズが小さいほど、レイテンシも少なくなる。

 ここを少なめに設定すると、コンピュータの処理が早くなって、レイテンシは低くなるが、CPUを食う。主にモニタリング向き。
 逆に、大きく設定すると、レイテンシが大きくなって、モニターには不向きになるが、再生の安定性は増す。
 モニタリングの際には、ここの数値を64~256の間で調整すると適切なレイテンシになる。



(2)サンプルレート

 サンプルレートを上げるほど、レイテンシは少なくなる。

 この設定は、オーディオインターフェイスに合わせて決定するか、あとは個人の好みで調節するかに分かれる。

 たとえば、サンプルレートは高めのほうが好みだという人もいるし、ここはCDと同じ44.1kHzにした方が作業がしやすいという人もいる。
 よくある設定は、48kHzなのだが、これは音質とインターフェイスとをなるべく両立するためである。

 レートを上げるほど、レイテンシは下がるが、やはりCPUは食う。



(3)ピリオド/バッファ

 USBデバイスを使う時には、ここを設定すること。レイテンシを低くしたければ「3」、そうでもない時は「2」にすること。

 レイテンシを低くしようと思ったら、設定はCPUとの兼ね合いを見計らって調整すること。
リアルタイムなモニターをそれほど必要としていなかったら、必要以上にCPUやメモリを食わない設定にした方がよい。
 まずはシステムや機械が止まらないことを最優先にしよう。
 こういう時、コンピュータにハードウェアの状態を示す機能があると、便利。



 以上の項目以外はそんなにいじる必要もない。と僕は思うよ。
 それでは次にそれをどう設定していくかを見てみよう。



 6 具体的な設定方法


 せっかくだから、なるべく楽曲制作に向けの設定、つまり、レイテンシが極力少なくなるような設定をしていこう。

  ただし、この設定、こちらが確認しうる限り「KXStudio」と「AVLinux」という2つのリナックス・ディストロではわざわざする必要がないんだ。2つとも楽曲制作のために作られたリナックスだからね。

 ここでは、QjackctlとCadenceの2つを具体例に挙げて説明するよ。

 Qjackctl

Step 1   Setup(設定)ボタンをクリック

Step 2   realtime にチェック
        
        Step 3~6の写真

Step 3   オーディオドライバーを選択する。
        デフォルトではALSAになっている。
        firewireデバイスを使う時には、ここを「firewire」に設定すること。
Step 4   オーディオインターフェイスを選択
Step 5   さっきの要3点を設定
Step 6   OKをクリックして、設定終了
        

Step 7   Qjackctlのstartを押せば、JACKサーバーが設定どおりに動き出す。
Step 8   JACKの動きが見たければ、ウィンドウを開いておくこと。



 Cadence

Step 1   configure(設定)ボタンをクリック

Step 2   realtime にチェック

        Step3~7の写真  

Step 3   ドライバタブを選択
Step 4   オーディオドライバーを選択。firewireを使うのでなければ、ALSAを選択。
Step 5   インターフェイスを選択
Step 6   さっきの要3点を設定
Step 7   OKをクリックして設定終了

Step 8   CandenceのStartを押せばJACKサーバーが設定どおりに動き出す。

Step 9   JACKの動きは「JACK Status」の部分に表示される。



 JACKは一度設定すると、その設定どおりに動いてくれる。なかにはJACKを再起動しなくても、バッファサイズの変更に対応してくれるプログラムもあって便利だね。

  このとおり、JACKのパワフルさは、とてつもなく基本的な機能を簡単に、高品質に提供するために設計されたからこそのものだ。だから、何ら特別な操作法もなく、新しいソフトの使い方を覚えるような苦労もない。

 何かJACKを動かしていて再生トラブルなどがあったら、設定の「インターフェイス」を確認してほしい。マネージャーソフトから設定を変更して、トラブルのあったシステムを再起動すると、動くことが多い。



 7 同期設定

 さっきも書いたように、システム同士を連携させる同期機能には、設定が必要だ。とても便利な機能なので、ぜひ活用してほしい。
 ここではその設定方法を簡単に説明する。


(1)準備

 まず、手持ちのJACKマネージャーを開く。それから、シンクロさせたいプログラムを開く。ここでは、ArdourとHydrogenを同期させてみよう。


(2)Ardour側の設定

 Ardourの場合、タイムマスターはデフォルトでJACKに設定されている。ただ、これでは外部ソフトと同期させるにはちょっと足りない。
 セッション(session)->プロバティ(properties)から、タイムコード(timecode)タブを「許可」にする。
 次にツールバーから「Internal」ボタンをクリック。これでその部分が「JACK」に変化する。これで、正式にArdour側のタイムマスターがJACKに変更された。


(3)Hydrogen側の設定

 ツール(tools)->設定(preferences)からオーディオシステムタブを探し出す。オーディオドライバーという項目からJACKを選択。ソフトを再起動。
 つぎに、ソフトのツールバーに2つの「timemaster」ボタンが表示される。左側のボタンから「J.trans」(Jack transport)を選ぶ。これでHydrogenをArdour側から操作できるようになる。

 以上の設定で、両プログラムの同期ができるようになった。
 ためしに、Ardour側のテンポを変更したら、Hydrogenにも反映されていた。他の機能も同様にシンクロされていくはず。

 (写真)HydrogenとArdourが同期している。タイムとテンポの項目に注目。

 このように、JACKはオーディオやMIDIをつないでくれる。同期もその機能の一環なのだけど、とても便利。こういう設定1つで作業が大幅に効率化できる。




 8 接続の作成

 レコーディング作業を例にとって、JACKでの接続の作成方法を確認しよう。

 録音ソフトはArdourを使っていくよ。

 <楽器とインプット>

 ・男性ボーカル

  Input 1

  ・女性ボーカル

  Input 2

 ・アコースティックギター

  Input 3

 ・アコースティックベース

  Input 4

 ・リードギター

  Guitarix(ソフト)に任せる

 ・パーカッション

  Hydrogenのドラムマシンに任せる

 ・ピアノ

  MIDIキーボードを接続して、ピアノプラグインから音出し


  これらの楽器、機材をArdourで接続する。それ以外のマネージャーを使ってもやることは大体同じだと思う。


 これで、Ardourのなかにミキシング環境が整備された。写真からは見切れているけれど、同じ画面ではGuitarixとHydrogenが起動している。写真の中で横長にマークされている部分は今なにが接続されているかが表示さている。


 Ardourに接続するには、横長マークのなかにある、インプットボタンを左クリックすること。ここのボタンは、何をインプットできるかを表示するウィンドウにもなっている。

 さて、僕は2番目のインプット(女性ボーカル)を第2トラックに入れたいのだけど、それにはキャプチャーから第2トラックのインプットボタンをクリックすればいい。他のトラックも同じように設定していく。


 ここで1つ注意。今しようとしている作業の場合、JACKを使わないと、適切な接続ができなくなる。たとえば、ただGuitarixの接続ウィンドウから接続しようとしても、Ardourからは接続を認識されず、失敗する。この時点でJACKの役割というものを痛感すると思う。JACKはシステム同士を接続するソフトだってことを忘れないで。


 さて、コネクションがすべて完了すると、写真のような表が出来上がる。ポートの項目は、オーディオは青、MIDIは赤で色分けされている。

  プログラム同士のつながりは、このように図解されてわかりやすくなっている。ただ、コネクション・マネージャーによってその見やすさが違ってくるかもしれないけど。

 だけど、いざ実際に使ったら、インプットやらアウトプットやらのつながりが大量に表示されてこんなもんじゃ済まないとおもう。

 そこで、Ardourは「matrix connection manager」という機能を用意している。これで、膨大な量のコネクションだろうと、カテゴリーごとに分類して、タブ分けしてくれる。音楽に本腰入れて取り組んでいる人にとっては、便利な機能だ。

 さて、これでオーディオとMIDI接続の解説も終わりだ。

 作業してみると、JACKどっかに出てきたっけ…?という状態だけど、接続や、同期は、やはりJACKなしにはうまくいかないんだよね。
 いつの間にか、使っている目立たないアプリなんだ。

 だからこそ、作業の苦にならない、自分に合った、マネージャーソフトを試して選んでみてほしい。どんな形だろうと、JACKを使おうとしていることには変わりはない。



 9 終わりに 

 JACKの最大の強みは、本来だったらバラバラに進行していたかもしれない仕事を同時進行させやすくするところ。

 だけど、欲を言えば、ぜんぶDAWで完結しちゃえばいいんだ。ほんと。
 でも、それってあまり現実的ではない。
 気に入ったソフトがDAWとは限らないでしょ。DAWが物理的に楽器を奏でるわけじゃないし。かといってこの時代、エフェクトを全部アナログにするのも現実的じゃない。

 JACKはそういう、ともすれば合わさることのない物たちの架け橋になる。それはユーザーの可能性を限りなく広げることなんだ。

 あなたが大抵どんなシステムを持ってきても、JACKを設定すれば、他のシステムとつなげることができる。そうしていけば、自分にぴったりな環境を作り上げることができるんだ。

 これにて、「JACKのキホン」は終了!最後まで読んでくれてありがとうございました!

筆者: Conor Mc Cormack     (翻訳:フノス)
原文:http://libremusicproduction.com/articles/demystifying-jack-–-beginners-guide-getting-started-jack
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